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カテゴリー "早苗久美子" の記事

河岸に立つ

河岸に立つ

早いもので、植田華菜子さんとの二人展「河岸に立つ」が終了して10日程経ちました。会期中は沢山の方にお運びいただき、本当にありがとうございました。

今回の「河岸に立つ」という展示タイトルについて、会期中にたくさんご質問をいただきました。このタイトルは、写真を撮る時に見つめているものと自分との距離感について、植田さんと話したことがきっかけで決まりました。

私は、ここ1年ほど「写真を撮る時、被写体は自分と同じ側にあるのか、向こう側にあるのか?」ということに関心をもっていました。
私自身は「こちら側と向こう側の境界線ギリギリの、手を伸ばせば触れられそうな、向こう側」を撮っている、と感じていました。そこで、同じ問いを植田さんにも投げかけてみたところ、被写体は「向こう側」だとという点は植田さんも同じ。違ったのは、植田さんが見つめているのは「手の届かない遠い向こう側」だという点です。つまり、河で言えば、植田さんは向こう岸を、私は足下の岸辺を見つめている、という距離感の違いがあったのです。今回の二人展では、その距離感はの違いを展示で表現したいという想いから「河岸に立つ」というタイトルを付けました。

この二人展を通して多くのものを得ることができました。自分の中でまだしっかりと整理できていないそれらのことにも、これから一つ一つ向き合っていくつもりです。

ふたり

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展示の準備をしています。
今度の展示は二人展です。

足したり引いたり、掛け合わせたり。
突然遠くにワープして、
思いがけないところに着地するかもしれません。

難しいけれど、楽しみです。

今、この一瞬だけの

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できるとか、できないとか。
向いているとか、向いていないとか。
ずっとそんなことばかり考えていたけれど、
今は全く別のことを考えている。

案外そんなものなのかもしれない。

今、この一瞬だけのことだとしても。

もうすぐ、春。

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春は好き。
でも、得意ではない。

視界も思考も心も紗が掛かるから。
ゆで卵の殻の内側の、あの白くて薄い膜に覆われてるみたいに。

クリアにならないし、なんだかちょっと苦しい。
内側に向かって、堂々巡り。

出たいのに、なかなか破れない。
でも、ここにずっと居てはいけないことを知っている。

生まれる直前のヒヨコもこんな気持ちになったりするかな。
どうだろう。

今年も淡い花びらに向けて手をのばす。
それはきっと明日みたいなもの。

もうすぐ、春。

【わたしと写真】 撮ることと、泣くこと。

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写真を撮ることと泣くことは殆ど同じなのではないか。そんな風に思うことがあります。どちらも、バラバラに壊れてしまった大切なものの破片を集めているような、ごく個人的で感傷的な衝動である一方、どこか淡々とした時間の流れを一歩離れたところから静かに見つめているようでもあります。

どんなに覚えておきたいと願う記憶も次第に滲んでゆくように、日々、過ぎゆく景色。終わっては始まるその繰返しを見つめながら、だからこそ、私は写真を撮っているのかもしれないと思うのです。

(早苗久美子)